2011年09月24日

イルミナティ 李家

訪中のゴア副大統領を迎える李鵬.jpg(写真)訪中のゴア副大統領を迎える李鵬

「イルミナティ悪魔の13血流」(フリッツ・スプリングマイヤー著 KKベストセラーズ)から、今回は中国イルミナティの「李家」について抜粋したいと思う。


〜億万長者で香港を仕切る李嘉誠、中国前首相の李鵬、元首相の李先念、シンガポール元首相の李光耀・・・・・・。
李一族はイルミナティと密接な連繫のもと、世界最強の犯罪同盟である秘密結社「三合会」を従え新世界秩序構築に貢献している。
孫文や毛沢東の中国革命も共産中国経営も権力中枢に巣食う李一族の協力なしではありえなかった。
さらに「紅槍会」「緑幇」「五祖結社」「14K結社」など60もの秘密組織が、上納金、ギャンブル、売春、麻薬、偽ブランド販売などを資金源に世界中で暗躍中だ。すべてイギリスを根拠とするイルミナティ、CIA、マフィアとのネットワークを有効活用して・・・・・・。


※―――紀元前二〇〇〇年以前、顓頊(ジュアンズ)から始まる李一族

 李一族および中国の秘密結社について書くことは、皆が寝静まった真夜中に一人起き出し、手探りで暗闇の中を徘徊するようなものである。私が知りえたことをすべて記述するつもりだが、実はまだまだ知らなくてはならないことが山ほどある。
 最初は、李一族についての知識は大変少なく、名前の正確なスペル Li さえ知らず、Lee と綴っていた(ただし、シンガポール、中国系アメリカ人の一部には、李をLeeと綴る一族もある)。 
 

 
 中国人の名前は、先に家名(姓)があり、次に個人名がくる。中国式にいうと私の名前はスプリングマイヤー・フリッツとなる。鷗陽や司馬などの例外もあるが、中国の姓は、ほとんど一字で、人口十億人の中国に六千以上もの姓がある。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏に多い中国人の姓は、常、林、李、王、黄、梅、楊、徐、方などで、中国本土に多い姓の上位五つは、程、李、張、何、黄である。
 中国で李という姓は、アメリカのスミスほどではないが、ブラウンに相当するくらい多い姓である。また中国人は同姓の人に強い連帯感を持つ。つまり、初対面の人であっても同じ姓の人は親戚と考えている。したがって中国では、血縁関係がわからなくても同姓同士の結婚は近親結婚と考えられるのだ。アメリカではブラウンという姓の人が血縁ではない同姓の人と出会っても、中国人のように親戚とは考えないのであるが。
 『シン・シュアン』という中国氏姓事典によると、李という姓は、紀元前二〇〇〇年以前の初代李、顓頊(ジュアンズ)皇帝まで遡る長い歴史を持つ。
 李一族は中国の長い歴史を通じて重要な役割を演じて来た。唐王朝時代には、十五の家系が李という姓を賜る栄誉を受けている。高祖李淵は六一八年から九〇七年まで続いた唐王朝の創立者で、息子の李世民があとを継ぎ、この時代に印刷技術や紙幣が中国から伝来した(李一族が、最初から紙幣とかかわっているのは興味深い)。


 

※―――新世界秩序に向けて貢献する李嘉誠、李鵬、李光耀

 
 近年では歴史上、三人の李が傑出している。
 ●億万長者で香港を牛耳る李嘉誠(リー・カシン)
 ●中国前首相の李鵬(リー・ホウ)
 ●シンガポールの首相(独裁者)だった李光耀(リー・クァンユー)
 これら李同士のつながりは私にはわからない。しかし李一族が、中国、香港、シンガポール、台湾の重要地域で勢力があることは知っている。もしもこの有力な李たちがみな親戚関係だとしたら、明らかに李一族は世界で最も権力を誇る一族の一つと言えるだろう。ロックフェラーと肩を並べるかも知れない。また、李一族はオカルト秘儀集団とも密接にかかわっている。李が忠臣となっている中国秘密結社については、あとで触れることにしよう。
 私の情報源によると、香港で勢力を誇る李嘉誠とその一族はまぎれもなく悪魔的イルミナティに属する。また、中国を動かす李一族がイルミナティにかかわっていることは間違いない。イルミナティと李一族を直接結びつける証拠はないが、推定する手掛かりはいくらでもある。例えばロックフェラー家やロスチャイルド家は、中国の李家となぜこれほど友好的な付き合いをしているのだろう。筋金入りの共産主義者であるはずの中華人民共和国首相、李鵬はニューヨークに来たとき、なぜロックフェラーや他の資本主義者たちを訪ねたのだろう。共産主義者の主たる敵は資本主義者ではなかったのか?
 イルミナティ、スカル&ボーンズのメンバー、ジョージ・ブッシュが、天安門広場で罪もない人々を押し潰した李鵬を、親愛をこめてもてなす様子を観察していると、ますます疑わしくなってくる。パズル全体を完成させる一片(ピース)として、中国がすでに新世界秩序の構想に加担しているらしいという情報を得た。これが事実なら、リーダーである李一族が新世界秩序を支持しているとしか考えられない。したがって中国の李一族はイルミナティに属しているという推論は有力になる。単に新世界秩序を推し進めるエリートたちに同調しているだけなのか、李一族こそがイルミナティの忠臣メンバーなのかと考えると、私は後者に傾きつつあるのだ。
 次にシンガポールだが、これは何もかもすべて新世界秩序に染まっている。シンガポールはどこよりも早く、キャッシュレス社会へと突入した。長年にわたって独裁を続けたのは李一族の、ケンブリッジで教育を受けた弁護士、李光耀だった。英国のエリートたちとも繋がりのある李には、その独裁者ぶりを表すエピソードがある。男性の長髪を嫌う李により、シンガポールに到着した長髪の男性はパスポートを取り上げられ、髪を切るか、刑務所に入るかの選択を迫られた。一九五九年、シンガポールが英国から独立したとき、李家は(この場合Leeと綴る)政権をとっていた人民行動党を統率していた。
 一九七六年に人民行動党は、議会の全議席六十九を獲得し政治を独占したのである。それ以前の六五年から首相となった李光耀は、絶大な権力を持つこととなった。そして、私の記憶では九〇年まで在任した。シンガポールのリーダーたちは、冷戦時代は反共産党路線をとったが、ニクソンが中国を懐柔しようと訪れたとき、シンガポールは友好使節団を中国に送り始めた。七五年、、李政権の外務大臣、S・ラジャラトナムが中国を訪れ、周恩来と会っている。周恩来は李鵬の師であり友人だったのだ。
 他方、中国前首相の李鵬の生い立ちについて詳しく調べると、彼の父は共産党のリーダーで、一九三一年に国民党政府によって撃ち殺されて以後は、周恩来が李鵬をほとんど養子のように育てた。周恩来は李鵬をモスクワの学校に入学させたが、ロシア人たちはほどなく彼の優秀さを見抜き、ロシアに留めて自国のために使えるよう訓練しようとしたので、李鵬は中国に逃げ帰らなければならなかった。しかし、事情はどうあれ、李はソヴィエト式経済の支持者であり、最高職を得る前は、何年も中国経済に携わっていた。


※―――毛沢東と李一族秘密結社の連繋

 
 一九七六年、李光耀自身が当時首席だった毛沢東に会っている。毛沢東は李一族と深いつながりがあった。李大サ(リー・ターチャオ)は国民党との戦いの間、中国北部の共産党党首だった。毛沢東の護衛は李應喬(リー・インキアオ)、そしてその師が秘密結社「紅槍会」とのつながりのある李大サだったのだ。初期の共産党幹部、朱徳、賀龍(ホー・ラン)、劉志壇(リュー・チータン)らは紅槍会のメンバーで、初期の共産党指導者、李致漢(リー・チーハン)は秘密結社「緑幇(リューバン)」のメンバーだった。李一族と中国秘密結社との関係や、様々な有力「友愛社」の説明はあとで述べることにする。
 ともあれ毛沢東によって、マルクス主義者の中国人として初めての秘密結社を基礎とした位階制、また革命におけるその重要性を論じる本が書かれたが、これは李大サの指導があった可能性が高い。毛沢東は革命時、哥老会(コーラオフイ)秘密結社の協力を得たが、不思議なことに公式の毛沢東の著書には、協力を申請した記述は無い(この事実については『一八四〇年から一九五〇年までの中国人民運動と秘密結社』に書かれている)。毛沢東はハーロット・キリスト教会の影響も受けた。少年の頃、キリストについて学ぼうと修道士学校に入学しようとしたが、中国人だったために冷たく拒否された。毛沢東はこの仕打ちを決してこの仕打ちを忘れることはなく、のちのキリスト教嫌いの原因の一つとなった。

李嘉誠の経済帝国.jpg
※―――世界に君臨する億万長者・李嘉誠の経済帝国

 ロスチャイルド家とロックフェラー家は、世界民族の中で、特に中国人と日本人に敬意を表している。これは日本や中国が新世界秩序において重要な役割を任される機会を得た理由の一つである。
 香港の李一族はイルミナティに属し、社会的にも良い評判を得ている友愛主義者である。前述した三人のうちのもう一人の億万長者である李嘉誠は、中国南部の汕頭(スワトー)に大学設立用資金を寄付した。『フォーチュン』誌一九九二年七月一三日号によると、大学とその付属病院の設立にかかった金額は八五〇〇万米ドルと伝えられている。
 次ページの図は、世界に広がる李嘉誠の経済帝国を示している。前述の『フォーチュン』誌によれば李嘉誠の財産はおよそ四〇億米ドルで、一九九一年だけで不動産の利益が一三〇億四〇〇〇万香港ドルだったそうだ。
 李嘉誠は香港の丘に建つ家にもう三〇年住んでいる。正式な教育を受けたことはなく、独学の人である。スタンフォードで高度な教育を受けた息子たちのうち、ビクターはエンジニアになり、リチャードはコンピューター・サイエンスを専攻して、香港のスターTVを経営している。
 裕福な友人たちと定期的に集まって、李嘉誠はポーカーゲームを楽しむようだ。
 李嘉誠は、香港にある大企業四社の会長または社長を務めている。常勤の経営陣には、中国人も欧米人も重役として採用している。英国人のサイモン・ミュリーは三百人委員会のメンバー所有のジャーディン・マチソンで働いたこともある。また、李は英国企業との提携会社を世界的に展開している。英国子会社のピアソンを一部所有し、ニューヨーク、ロンドン、パリにリザード(レプティリアン?)金融会社を所有する。李嘉誠は、国際的金融界の大物たちと取引しているのである。李は、MTVやAT&T、モトローラ、タイム、ワーナー社にも出資し、李所有のスターTVはイスラエルからインドネシアまで五つのチャンネルを放送しているのだ。番組は、BBCニュースやMTV、そのほかの提携各社から供給されている。李は、マドンナやハリウッド全体をアジアに紹介しているのだ。また、ブリティッシュ・コロンビア、バンクーバーでも投資している。一九八六年万国博跡地を買い上げたが、そおの広さはバンクーバー繁華街の六分の一にあたる。市の人口五十六万人の二七%が中国系であるバンクーバーは「三合会」の本拠地なのだ。これについては、またあとで述べることにする。
 李嘉誠は、カナダのハスキー石油会社買収をイルミナティ・エリートたちによって許可された。この許可がなければ実現しなかったことである。『オイル・アンド・ガス』誌(一九九一年十一月十八日号)によると、李は現在、ハスキー石油の八六%を所有しているそうである。


※―――英国(イルミナティ)と濃密につながり香港を仕切ってきた李一族

 大規模な東アジア銀行(BEA)は、李国宝(リー・クオックポー デイビッド・リーとしても知られている)によって経営されていて、G・ワーバーグ社などのイルミナティ系列の企業と提携している。李国宝は香港立法府で金融界を代表する評議員であり、また、中国に返還後の香港を考える会の副会長でもある。このポストに就任した理由について、「李が中国側から選ばれたのは、その家系によるところが大きい。ほとんどが英国のパスポートを持っている李一族はこの地域で最も裕福で、影響力と歴史のある家系の一つである」(『極東エコノミックレビュー』 一九八九年六月号)という記事がある。
 実際に彼は、香港の人々に中国共産党政府を信頼するよう働きかけて来た。天安門広場事件について尋ねられた際には、自らのパスポートをかざし「これは英国市民権を証明するが、旅行することは許可されていない」とジョークでかわしている。ちなみに大多数の香港人が持っているのは香港パスポートで、英国パスポートを所持するデイヴィッド・リーが望むところに行けるのに対し、香港人への制約は多い。
 デイヴィッド・リーの三人の叔父のうち、サイモン・リーは香港の控訴司法官である。ついでながら彼は同職に選任されたときも何もコメントしなかった。次の叔父、ロナルド・リーは香港証券取引所の前会長で、基本法律諮問機関のメンバーだった。しかし息子とともに、証券取引所会長としての立場を利用した収賄罪で逮捕され、公判に持ち込まれた。結果についてはわからない。
 もう一人の叔父、リー・フッコウ(Li Fook-kow)は一九八八年九月、政府機関の香港財政共同体代表に選ばれた。
 エリートたちによる、国際信用商業銀行(BCCI)のスキャンダルが発覚したとき、信用商業銀行香港支店(BCCHK)は調査を免れた。BCCHKの社長、タリク・ジャミルは、出頭して質問を受ける立場にあったにもかかわらず、国外へ出奔した。香港当局が見逃したのだ。デイヴィッド・リーは渦中にあり、為替基金を、BEAがBCCHKを吸収する形補助金として使うよう提案した。もう一人、BCCHKにかかわる重要人物はルイス・ソボールである。アメリカ銀行が中国と接触をする窓口として動いていたソボールは、一九四〇年代から中国本土を定期的に訪れていた。BCCHKの会長だった期間、不審な行動が目立つという噂が立ったが、香港を発ったあと、行き先は不明である。

 以下、ポイントとなる部分を列記しておこう。
 ●李一族の一人が、そのお地区のアメリカン・エクスプレス・インターナショナルを統率していた。
 ●リー・ペイウーは、一九九〇年の金融界における高額給与所得者として五本の指に入った。
 ●一部の李一族が、キリスト教を引き入れ、不法な活動の隠れ蓑にしていた。フローレンス・ティム・オイ・リーはカトリック女性司祭である(『ナショナル・カトリック・レポーター』 一九九〇年十月一九日号)。
 ●リチャード・リーは、アジアにおけるメディアの大立者となった。
 ●ビクター・リーは、ハワイの東西センターを経営した。


※―――共産主義中国の権力中枢に巣食う李一族

 「中国の政治システムで、実際に決定権があるのは共産党中央委員会・中央政治局常務委員会に属する七名のメンバーと相談役である長老たちである」(『中国ビジネスレビュー』一九九三年一・二月号)。この七人のメンバーのうち、二人は李一族である。首相である(当時、以下同)李鵬と共産党宣伝部長で一九八九年以来この立場にある李瑞環だ。その他のメンバーは江沢民、喬石、胡錦涛、劉華清、朱鎔基である。中華人民共和国首相として李鵬は、様々な世界の首脳やイルミナティメンバーと会見している。例をあげると以下のようになる。
 

 ●一九九〇年四月二十八日、ソヴィエト首脳。
 ●一九九一年七月頃、イルミナティのメンバーを含む米中ビジネス評議委員。
 ●一九九一年八月十五日、日本首相/海部俊樹。
 ●一九九一年九月三日、英国首相/ジョン・メイジャー。
 ●一九九一年十一月十六日、米国国務長官/ジェイムズ・A・ベイカー。
 ●一九九一年十二月十二日〜十四日、インド首相/P・V・ナラシアハ・ラオ。
 ●一九九二年二月一日、米国大統領/ジョージ・ブッシュ。
 ●一九九二年二月三日、米国の有力な資本家五人。
 ●一九九二年二月十日、ロシア、エリツィン大統領。

 世界の首脳たちは互いに話し合っているのだろうか?この頻度には何か意味があるのだろうか?単に李鵬が首相を務めているがゆえと言っていいのだろうか?私にはそうは思えない。李一族で、首相である李鵬だけが重要メンバーというわけではないからだ。
 例えば李先念は毛沢東の死後、権力争いに巻き込まれずに何年間か首相を務めた。中国の四大指導者の一人とも言われている。AA各国を訪問し、多数の首相たちと会談した。また李徳生は共産党中央委員会政治局のメンバーで、軍事関係の重要ポストにあった。そして李強は共産党中央委員会のメンバーで、一九七八年に対外貿易部長に任命されている。


※―――イルミナティと李一族は「新時代」をどう築くのか?

 アジアの麻薬王の李彌将軍は黄金の三角地帯に逃亡し、CIA諜報部員によって物資の供給を受けた。麻薬用のケシ畑を始めたのは彼だが、この麻薬は他の有力なイルミナティ一族によって売りさばかれている。つまりアヘン生産は、李彌自身の計画ではありえない。何百年にわたって麻薬を多量に供給して来たイルミナティによる、慎重に計算された計画であるはずだ。そして一九六〇年、李彌の死後にはもう一人の李があとを継いだ。リー・ウェンファン(Li Wen-huan)である。
 エリートたちはリーに、ニューヨークやロングアイランドでリー商業銀行を創業する許可を与えた。
 ブッシュが駐中国大使を務めたのち、カーター大統領は六位階のピルグリム・ソサエティのメンバーであるトーマス・S・ゲイツを選んだ。この選出にロックフェラーも同意し、ゲイツは重役として働いていたJ・P・モルガン社から直接北京に転勤した。
 イルミナティ系列銀行はみな、何年もの間、中国への融資を用意している。
 クリントンの中国に対する方針を知る記事の一つが、前出の『中国ビジネスレビュー』に掲載されている。表紙はクリントンと李鵬で「新時代?」という見出しになっていた。内容はエリートの記事の多くがそうであるように、これも長い修辞や宣伝などで埋まっていたが、少なくともクリントンは中国問題アドバイザーの意見に従い、共産主義国である中国との関係に風波を立てない方針のようである。だが、そうなると表紙の問いは新たなる疑問を生む。いったいどの程度まで、エリートたちは、彼らの目指す「新時代」へ私たちを連れて行こうというのか!?

三合会の伝統的組織構造.jpg
図1-19 三合会の伝統的組織構造

※―――マフィアより数倍も強力な組織・三合会

 私の調査によって、李一族が三合会を統率する主要家系の一つであることがわかった。三合会は中国秘密結社の一つで、フリーメーソンとマフィアの中間に位置するようなものである。同様なP2[プロパガンダ・デュー(第二教宣部隊)の略記でイタリアに組織し、一九八一年の「P2スキャンダル」で知られる]はフリーメーソンの類だが、より大規模な三合会は、アメリカではあまり知られていないが、マフィアの何倍も強力な組織なのだ。一九七〇年、三合会はマフィアと手を結ぼうと招いたが、マフィアが三合会の傲慢さを嫌ったことはよく知られている。しかし、私から見れば、当時の三合会の強大な力からすると傲慢とは言えなかったと思う。これは三合会についての本章を読んでもらえれば、理解していただけるはずだが、ここでは、三合会の指導者を務めた李一族のメンバーを、過去・現在を含めて紹介しておく。これらの変わった名前を並べて読者を疲れさせるつもりはないが、この強力なイルミナティ一族を理解する上で詳細な事実を記すことは正確な把握につながると思う。
 ここではまず、大国中国はとりあえずおくとして、香港は李一族が実質的に統率し動かしている。そして李一族とイルミナティはかかわっているのだろうかの問いに、もちろん、深く、しかし極秘にかかわっているとだけ言っておく。
 イルミナティの指導者だった李一族のリストを次ページ(下記)に掲げた。
 さらに付言するなら、李一族は遺伝学の分野に優秀な研究者を輩出していること。遺伝の研究は、昔からイルミナティにおいて熱心に行われて来たものであることを指摘しておこう。

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◆イルミナティの指導者だった李一族
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 リー・チータン(Li Chi-tang)―――海外の指導者
 リー・シェンチー(Li Hsien-chih)
 リー・シューチェン(Li Hsiu-cheng)―――湖南
 リー・フン(Li Hung)―――華南省
 リー・カイチュン(Li Kai-chen)―――上海三合会
 リー・ラプティン(Li Lap ting)―――江蘇省
 リー・ピンチン(Li Ping-ching)―――上海三合会
 リー・シーチン(Li Shih-chin)
 リー・ウェンマオ(Li Wen-mao)―――北京、福建省
 リー・ユアンファ(Li Yuan-fa)―――湖南
 リー・チョイファ(Li Choi Fat)―――香港
 リー・ジャーファーマ(Li Jarfar Mah)―――英国■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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※―――孫文とマフィア。CIA・イルミナティにつながる三合会、五祖結社

 私が調査した李一族に関する事実は、全体のほんの一部を知らせてくれるだけだ。香港の李一族は、イルミナティに属し、イギリスやアメリカのエリートたちと切っても切れない関係にある。彼らは皆、三合会ともかかわっているのだ。香港の李一族と中国を動かす李一族とのつながりは不明だが、李一族の何者かが中国とシンガポールを動かしているのは事実である。両国はイルミナティと密接な関係があるので、当然その指導者もイルミナティにかかわっていると疑われる。もしこれらの李一族が、互いに同じ血統だと考えているなら、事実そうかも知れないが、中国の慣習により強い連帯感を生む。そして、世界的にも、非常に強力な一族ということになるのだ。
 この結論に達するのに私はインタビュー取材を加えて、以下のものを参考文献とした。
 もちろん、これは選択および凝縮されたものだが、次項―中国の秘密結社の概観に入っていく前に読者への報告として掲げる。マーティン・ブース著『中国犯罪組織が生んだ、世界を脅かす三合会』、ジーン・シェノ―著『一八四〇年から一九五〇年までの中国人民運動と秘密結社』『新しい皇帝たち』。
 また、雑誌では『バンカーズ・マンスリー』『ビジネスニュース』『中国ビジネスレビュー』『極東エコノミックレビュー』『フォーチュン』『ハワイ・ビジネス』『パブリッシャーズ・ウィークリー』『マクリーンズ』『ナショナル・カトリック・レポーター』などから様々な情報を得た。
 新聞では『クリスチャン・サイエンス・モニター』『ロサンジェルス・タイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』が主となっている。

 中国んお秘密結社を扱うとき注意すべきことは、各組織で様々な呼び名を持っており、その全てを書き上げるだけで何ページにも及ぶということだ。そのおほんの一部が天地会、幇同盟、そして三合会などなのである。
 なかでもフリーメーソンは、三合会に興味を示し、調査を重ねて何冊かの本がメンバーによって書かれている。G・シェリージェル(『幇同盟』 一九二五年刊。なお、この執筆にはJ・S・M・ワードが協力している)などだ。
 さて、中国の歴史は、権威主義の王朝とそれに対抗する秘密結社の歴史だった。中国史を通じて、体制に対抗する道は基本的に秘密結社しかなかったのである。秘密結社は、惨めさを押しつけるものに対して、無力な人々が戦う手段だったのだ。秘密結社が人手不足になることはかつてなかった。貧しい人々を秘密結社に入会させる動機には事欠かなかったからだ。そして秘密結社運動の指導者になろうとする者もあとを絶たなかった。実際、私は二百五十以上の中国秘密結社を知っている。そのうちいくつかは、すでに活動を中止しているが、もちろんここで、残りの秘密結社全部に触れることは出来ない。
 ここで扱う結社をお選んだ基準は、その結社と欧米秘密結社の両立性である。これこそ、三合会がマフィアやCIA、イルミナティと手を組めた理由なのだ。この両立性によって、フリーメーソンがいくつかの中国秘密結社とどのように提携してきたかを説明することが出来る。例えば、『ニューエイジ・マガジン』一九六四年九月号では、三十三位階の最高諮問機関が「中国五祖(Wootsu)結社とフリーメーソンの比較」と題して次のように記している。

  北京スコティッシュ儀礼に属する、「カドッシュの主」三十三位階のモリス・B・デュパス氏は年間報告で、五祖結社に関する興味深い見解を述べている。「昨年、私は、やはりスコティッシュ儀礼に属する中国に詳しいメンバーと会う機会を得た。彼は私の中国での経歴を知って、フリーメーソンに似た中国組織について何か知らないかと尋ねた。彼が五祖結社(Wooは五を、tsuは祖先を意味する)、英語ではファイブ・アンセスターズ≠フことを言ってるのだと察せられた。中国に住んだことのある外国人たちの意見では、五祖結社≠ヘ、欧米ではフリーメーソンに発展した組織運動の東支部だということだ。五祖結社の教義はフリーメーソンの教義とかなり共通性がある。超越神が姿形を現したと考えられている仏陀に対する敬意、不滅を信じること、死ぬまでの忠誠≠説くこと、そして秘密性である。相違点は、五祖結社にはフリーメーソンには欠かせない聖なる法典にあたるものが無いこと、また、男女ともに会員になれることである」

 多分、孫文の生涯ほど、東西のオカルト秘密結社同士のつながりや重なりを凝縮したものは無いだろう。孫文は中国に王制を捨てさせ、共和国を創った創始者である。また、香港を本拠地とする中和堂結社や、ホノルル、シカゴの国安会結社などいくつかの三合会の指導者でもあった。ハワイに渡ってすぐ孫文は、新しい三合会戴隆山を設立した。二百六十八ある三合会支部の設立にも重要な役割を演じ、日本には同盟会を設立した。シンガポールとマレーシアには三合会の集会所を建てている。孫文はフリーメーソンの高位メンバーで、香港の英国国教会学校に通ったこともある。国際的な画商で資本家の白蓮社と仕事上、手を結んでいた孫文は、米国やヨーロッパを訪ね、革命に対する支持を求めて廻った。非共産党員で、偉大な指導者だった人たちのなかにも、三合会とフリーメーソン両方のメンバーがいた。


※―――血の誓いと伝統で結束する三合会は中国のサブカルチャー

 三合会の儀式は壮大なものだったが、時とともに簡素化され続けて来た。参入儀礼の三つの宗教的源をを持つ。道教(魔術)、仏教、そして儒教である。道教は、祖先血族や魔術、錬金術の重要性を強調していた。伝統的な参入儀式は八時間にも及び、儀式の踊り、聖なる握手、血の生け贄、新参入者の指を指すことなどを含んでいる。
 三合会は大変長い歴史と伝統を持っている。三合会とは何かを理解しようとするなら、その行動の特別な瞬間をとらえなければならない。三合会は時にフリーメーソンのような秘密友愛結社であり、時には革命軍の様相を呈し、また時にはマフィアのようだったりするのだ。どれも三合会の姿である。したがって、三合会ははっきりしたカテゴリーに属する他の秘密結社に比べて複雑で、理解するのが困難だと言えるだろう。他の組織に、暗殺者として雇われることもあるのだ。三合会の歴史と伝統は、中国の副文化(サブカルチャー)とも言える。それは法の強制機関が制御しにくい副文化で、血の誓いと伝統がメンバーを結束させているのだ。
 その起源は何百年も前に、白蓮会が幇同盟と連合し、次に三合会となっていった。今も幇同盟と呼ぶ人たちもある。フリーメーソンが商業組合を隠れ蓑にしていたように、幇同盟も土地によってたくさんの呼び名を持っていた。
 同会で歴史的に著名なことは、義和団との交流である。いや、むしろ一時期は連合さえしていた。しかし義和団は外国からの圧力に敗退し、束の間の表面への登場となった。


※―――完全なる腐敗、堕落、退廃をもたらす三合会

 こうした三合会について考えるとき、忘れてはならないのは「他所」での活動であろう。
 カリフォルニアのゴールドラッシュ時代、多くの中国人が渡米した。そしてサンフランシスコの中国人洗濯屋たちの間で三合会の集会所が増え、一八五四年までには同会の「ファイブ・カンパニーズ」はカリフォルニアで三万五千人のメンバーを得ていた。会館や集会場所を意味する「トン」と呼ばれる三合会の集会所が、中国人の居住地にいつの間にか出来、ララミー、シャイアン、カンザスシティ、シアトル、バンクーバー、カリフォルニア、ニューヨーク、ボストン、クローンダイクなどに次々と設立されていった。そしてこれら海外の三合会は広東の幇同盟の管轄だったが、この組織はやがて、オーストラリアとマレーシアで生まれたチー・カントン(Chi Kung Tong)グループに吸収された。
 また、これは厳密には他所とはならないが、英国が香港を統治し始めた頃には、香港は海賊たちの天国だという評判がたっていた。三合会は集会所を設立し、密かに香港を操り始めた。一八四五年、英国は三合会に入会することは違法とし、その後、発見した三合会メンバーを中国全土に強制送還した。しかし、三合会が物事を牛耳っていたので、英国側はたまに少数を逮捕する以外は、法律を強制することは出来なかった。
 事実、香港植民地の三合会監督警察官だった英国人アーネスト・タフィ・ハントは一九五五年以来十八年にわたって、一年につき七十万香港ドルから一二〇万香港ドルまでの賄賂を受け取っていた。
 香港の新聞は頻繁に警察の三合会手入れを報道して来たが、そのうちどれが三合会の内輪もめなのか、見せ掛けの手入れなのか、本当に三合会に打撃を与えているのか疑わしいところだ。
 香港にある三合会傘下の工場は、世界中のセックス・ショップに商品を供給して来た。しかし香港の三合会が管理している地域の生活環境は地上の地獄と言えるほど劣悪である。狭い敷地に多数の人々を詰め込み、衛生観念は無視されている。堕落と精神の腐敗が渦巻いているのだ。三合会が人々にどんな生活を提供したいのか疑う余地は無い。完全な退廃、完全な倫理の腐敗と堕落である。フリーメーソンのように(規模はずっと小さいが)、三合会のメンバーのための相互扶助組織も多少あるが、非常にまれである。
 三合会は香港市民のほとんど全員から上納金を巻き上げている。上納金と脅迫の歴史をたどれば何冊も本が書けるほどだ。つまり、香港での商業経済全体に三合会の息がかかっているのである。そして、李一族が今も三合会とかかわっている。
 何十年にもわたって繰り返されたスキャンダルは、三合会と香港政府や警察との強い癒着を示している。中国系人を雇っているところにはどこでも、三合会が潜入している。中国系でない人々までが買収されているのだ。香港の大衆は、三合会が公然と不法行為を行っていながら警察が対応しないことをしょっちゅう腹を立てている。


※―――三合会は世界最強力の犯罪同盟
 そして中国全土。共産党が中国を統率する以前は、三合会が中国を動かしていた。例えば、一九一七年、中華民国の副首相と三合会が国の金を盗み、アヘン購入にあてていたことが発覚した。人民解放軍の指導者が三合会のリーダーだったが、そのうちの多くはフリーメーソンのメンバーでもあったのだ。
 共産党が政権をとってから、三合会は潜伏を余儀なくされた。共産党員は三合会を追わなかったが、その存在をますます秘密にした。覚えている人もあるだろうが、天安門事件後、新聞は小さく、三合会が民主化運動の指導者たちを国外へ脱出させたことを報じた。要するに共産党は、三合会の力を打ち砕くことは出来なかったのだ。実際、過激な共産党中国政府が三合会に対して無力だっただけでなく、どこの警察も無力だった。三合会は、イルミナティとその三百人委員会を構成する組織を除けば、世界で最も強力な犯罪同盟である。三合会に比べればマフィアは問題にならないくらい小規模である。三合会はどんな法律強制機関にとっても、触れると危険な存在だ。一例として、英国警察には、三合会に潜入を試みるような中国系の警察官はほとんどいなかった。
 三合会は百年以上もアメリカで組織活動を続け、イルミナティの大物と手を組んで麻薬の元締めをしてきたが、ほとんどのアメリカ人はその存在すら知らない。中国系のアメリカ人は中国の方言を話さないので、三合会に潜入することは出来ないのだ。


※―――十四K結社など六十もの危ない結社を統べる

 三合会とか幇同盟と呼ばれる組織は、数多くのグループに分かれている。一九三一年には、主に八つの組織が、香港を地理的または民族的に分けてそれぞれ統率して来た。その八つとは和(ウー)、統(ツン)、同(タン)、串(チュエン)、勝(シン)、福義興(フク・イェーヒング)、義安(イェーオン)、そして聯(ルエン)だ。おのおのの組織は、本部、配下の組織、表向きの団体名を持っていた。福義興の表向きは労働者のための慈善団体で、十二の支部と一万人のメンバーを持っており、義安の表向きは義安商工組合で、和は生命保険団体を看板にしていた。なんらかの隠れ蓑を持っており、特に武道関係のクラブのほとんどは裏に秘密結社を隠しているか関係があった。これは香港に限らず、程度の差こそあれ他国でもそうである。
 秘密結社の組織がどれほど細かく分かれているのかの例として、大きな組織の一つである和結社を挙げてみる。和結社は、それ自体、役割によって大きく三つのグループに分かれている。和勝堂、和勇堂、和合堂で、この三つは長い間、和結社の支配をめぐって抗争を続けて来た。一九五〇年代末、和結社には四十一の支部組織があったが、現在ではウー・シンウーが最も権力を持っている。
 イルミナティと手を結んだ三合会のグループの一つにサン・イェーオン、別称義安商工組合がある。この組織は九竜街を縄張りとし、世界市場にセックス玩具を供給している。ウー・シンウーやサン・イェーオンとともに最近の三合会で頭角を現しているのが十四K結社である。これは蒋介石とその師、大耳隊が「五大陸海外中国幇同盟」と呼ばれる様々な組織を監督するために作った結社らしい。この結社は、一九四五年、中国人たちがアジア、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカで活動していたときに設立された。
 ちなみに、ウーの友人のチャーリー・スン(三合会上層部在職者)は、富豪のジュリアン・S・カーの金銭援助を受けバンダービルド大学で受講した。チャーリー・スンの娘、靄玲(アイリン)は孫文と親しく、また、銀行家及び実業家である孔祥熙(クン・シャン・シー)と結婚して三合会に貢献した。金融界の帝王であるクンと、メソジスト派キリスト教徒(フリーメーソン)であるという建前は、国際取引の場で三合会支部を助けたのだった。
 今日の香港では約六十の結社が活動している。数値的に最大なのは三万三千人のメンバーを持つサン・義安である。六十の結社は大きく三つに分けられ、一つは伝統的に組織化されたグループ、次にまったく組織化されていないグループ、そして最も危険で、小規模ながら中央委員会が結束し、犯罪活動を効率よく非情に計画、実行するグループだ。

スキャン三合会.jpg
上写真は三合会の紋章。インターネットで何者かに遠隔操作され、邪魔されまくったため、このような歪で巨大な画像となってしまった。

※―――麻薬を資金源に海外で暗躍する三合会

 バンクーバー、ブリティッシュ・コロンビア州、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドン、マンチェスター、アムステルダムなどは三合会活動の本拠地である(マカオや香港は言うまでもない)。資金は上納金やギャンブル、売春、麻薬、その他利益を生む全てから調達される。三合会は麻薬ネットワークを作るためにCIAとも手を組んでいた。麻薬生産源としての黄金の三角地帯を作ったのはCIAとの共同作業だった。中国共産党員たちはアメリカをたぶらかす機会を逃さなかったのである。つまり共産党中国政府は、麻薬がアメリカ軍基地に流れることを知りながら、三合会とともにヘロインやアヘンの供給に動いたのだ。ドイツのアメリカ駐屯軍には、三合会の監督下で栽培されたか、中国国内で栽培された質の高い麻薬が大量に三合会を通じて供給された。麻薬取引の元締めの一人がランピー・ホー(Lumpy Ho)で、表向きはオランダ・コネクションとして知られていた。
 香港の汚職撲滅運動によって、バンクーバー、ブリティッシュ・コロンビア州に逃げた三合会のメンバーである汚職警官たちは、そこで三合会の本拠地を作る努力を重ねた。そしてビクトリアやワシントン州、シアトルにも支部を広げたのだ。
 三合会は一九八〇年代、ロンドンで活動していたとされているが、実際はそれ以前から活動は始まっていた。一九六〇年代になって麻薬文化が浸透し始め、長年麻薬取引に手を染めていた三合会の注意を引いたのである。七一年、三合会はローリングストーンズが「ブラウンシュガー」と歌った低品質の麻薬に代わって、「純度四番」という高品質なヘロインを売り出した。
 一九七三年、英国当局は麻薬取引局のアメリカ人、イギリス人係官を調査し、そのうち何人かを解任した。何があったか詳しいことはわからないが、とにかくこの件は二年間も長引き、その間、系統だった麻薬取引局はロンドンにはなかったのである。
 英国では、中国系の人が住む場所には必ず三合会の活動がある。ということは全ての英国都市ということになる。スコットランドとアイルランドでは、異なった三合会の結社が互いに利権をめぐって縄張り争いをしていた。三合会に顔がきく李一族は麻薬取引には絶好の手段を得たことになり、イルミナティも三合会を好む訳である。麻薬取引を嫌う人々はその嫌悪を、携わる民族に向ける。黒幕にまで目がいかないのだ。三合会で麻薬の運び屋はほとんどヨーロッパ人であり、銀行も、今や英国の銀行を主に利用している。
 英国議会は一九八五年、三合会に対する委員会を設けたが、委員会は、三合会を英国にとっての脅威ではないと報告している。(英国は悪魔の総本山だからね、女王様も御用達のみんなグルだ。)
 マフィアも麻薬取引での縄張りを保とうと必死だ。しかしマフィアは直接、栽培元から買い付ける立場にはいない。潮州(チウチャウ)会はベトナム戦争の時、サイゴン、ベトナムでアメリカ兵に麻薬を供給するよう活動していた。コルシカ・シンジケート(犯罪組織)はベトナムにつてがあり、マフィアを三合会に紹介した。コルシカ人たちは麻薬取引ではフレンチ・コネクションとして知られており、トルコからレバノンを通ってフランスのマルセイユに到着する麻薬を扱っていた。しかし現在では三合会がアジア産の麻薬を南アメリカ経由で米国に運び、ニューヨークの麻薬取引はほとんど完全に三合会が取り仕切っている。しかし、忘れてはいけないのが、三合会の指導者たちはイルミナティ上層部一族の同意を得て動いているということだ。イルミナティの協力がなければ、三合会は商売できないのである。
 ニューヨークの三合会の中で勢力のある暴力団の一つが、飛龍会(The Flying Dragons)である。ニューヨークの三合会、安利幇(オン・リーオン)、は配下に暴力団、霊影会(the Ghost Shadows)を持っている。
 カナダのトロントのような都市は、中国人とベトナム人の人口が少なくとも十七万五千人で、三合会の集会所を作るメンバーには事欠かず、十の三合会グループが活動している。
 オーストラリアでは三合会の義興会(イェー・ヒン)と付属の慈善団体ムン・ジードン(Mun Ji Dong)が八十年間、フリーメーソンのような慈善を行って来たとされている。ムン・ジードンは法律を守って活動することを決定した。


※―――青竜刀と肉切り包丁で武装するオカルト友愛会

 三合会は公式には、観世音菩薩と地の神を祀っており、毎年主要な祭りでは爆竹が供される。一九八二年のティンホー(Tin-Ho)祭りでは、十四K会のグループ二つとウー・シンウー会の五百人のメンバーが公然と三合会のTシャツを着た。法律では公に三合会を宣伝することは禁じられているので、明らかに違法行為だったが、三合会は刑罰を免れた。
 この三合会の伝統的な武器は、人間を殺傷するのに使われた青竜刀と肉切り包丁である。
 そうした古い形を持ちながらも、イルミナティやその一族のために働くCIAやマフィアとのつながり以外に、三合会は街のギャングやチンピラ、または犯罪組織団体と手を結んで来た。この中にはフリーメーソンのような秘密友愛結社なども含まれる。三合会は歴史的にも、中国国内の秘密結社と数限りなくかかわって来たし、日本のヤクザやフィリピンの犯罪組織と組むこともある。ヤクザもハワイ経由で麻薬を米国に運んでいる。これはヤクザと三合会が連携しているからである。台湾の三合会がヤクザと最も密接で、特に、四海会や竹連会が深くかかわっている。
 三合会は、メンバーの会計士を何名も雇っており、マネーロンダリングやクレジットカードの盗用、本物そっくりの偽ブランド商品などが資金調達に役立っている。また、三合会付きの弁護士はメンバーでもあるのだ。偽グッチの商品を売るかと思えば、偽装パスポート作成にも熟練している。麻薬取引で使われるのは金(ゴールド)だ。なぜなら麻薬生産者がゴールドでの支払いを望むからである。ゴールドでの交易はイルミナティによって監視されなければならない。そしてゴールドはイルミナティで常に重要な商品だったからであり、その価値は貨幣価値をはるかに超えるからだ。
 このようにして、三合会はオカルト友愛会であり、有数のお国際的犯罪組織へと発展した。また様々なイルミナティ一族と協調し手を結んで活動して来た。李一族は三合会の中で重要な役割を演じているが、それがどんな役割なのかまだ解明されていない。

黒社会

 チャイニーズマフィアの総称であり、台湾では「黒道」、香港では「三合会」
と呼ばれている。

黒社会の多くは清朝時代(1616-1912)の秘密結社を源流としており、時の勢力から弾圧を受けていた秘密結社が、組織維持や防御のために非合法な活動に手を染めだんだんと犯罪の比重が高まっていった。
ここから「黒社会」と呼ばれるようになったらしい。





爆窃団

 現在日本では「香港から来た型破りな手段を使う窃盗団」のことを指しているが、本来「爆窃」というのは「どろぼう(侵入盗)」という意味の日本語と同義
なので、アッチ(香港あたり)の方ではけっこう普通らしい。
 
爆窃団は単一組織ではなく、十数人を超えるものから少人数の窃盗グループを
組織したものまでの様々なグループの総称であり、これらは集合離散を繰り返し
ながら組織化をすすめているらしい。
また、逮捕された際に組織の事を警察に話せば、本国の家族を抹殺するという掟が存在し、口を割らない限り、家族の面倒は組織が責任を負うといわれている。




三合会

 主に香港に存在する黒社会のこと。「トライアッド」などとも呼ばれている。
 
三合会は、清の時代に清朝支配を打倒して明朝の漢人支配を復興させる「反清
復明」を旗印に仲間が結束した反権力・反体制組織「天地会」の流れをくむ広東一帯の秘密結社がその源流であると言われている。
 
現在、三合会の実態は断片的にしか解明されていないが、下記57派に分かれ
ているらしく、構成人員は20万人にも及ぶと推定されている。


☆三合会の流派☆


(1)14K
   三合会57派のうちの20派を占める。
   
もともとは国民党の中佐の指令で作られた秘密結社「14会」が共産党に追われて香港へ移り犯罪的秘密結社となったもの。発展する時点で、他の組織との戦いに勝利し、「地上にあるどの純金よりも固い」とされる「14K」へとその名称を改めた。


(2)大圏
   14Kのなかの武闘派集団。
  
銃器の扱いに手慣れており、手口の荒い犯罪が得意。大仕事となれば本国から実行部隊を呼び寄せ、犯行後に逃亡する手口が知られている。
   

(3)新義安
   三合会57派のうちの6派を占める「潮州」に属する一派。
   
香港黒社会最大の勢力と最古の伝統を誇り、1886年に組織化された。
   
構成員は6万人と推定されており、その管理はコンピュータによって行われ、中核メンバーには、コードナンバーがそれぞれ与えられているというウワサ。
   
別名「黒い総合商社」と呼ばれており、表の世界では映画・娯楽産業に参入している。
第1章 組織犯罪との闘い 
ア 「蛇頭」
 国際的な密航請負組織である「蛇頭(じゃとう)」は,営利を目的として,中国での密航者の勧誘,引率,搬送,船舶や偽造旅券の調達,我が国での密航者の受入れ,隠匿,搬送等を行うなど,国境を越えて暗躍し,世界各国の出入国管理を脅かす犯罪を組織的に敢行している。
 「蛇頭」は,我が国に不法滞在している中国人を集めて受入組織を構築するなど,広域的に活動し,集団密航に深く関与している。最近では,暴力団の支援を受けずに,自力で集団密航者の収受,運搬,隠匿といった犯行を繰り返している例もみられる。


ウ 韓国人すりグループ

 来日韓国人すりグループは,平成に入ったころから活動が目立ち始めた。これらは2,3人から10人程度のすり常習者によって形成されており,メンバーが離脱して別のグループを構成するような例はみられるものの,各グループを統括する上位者の存在等はなく,基本的に各グループ単体で活動しているものとみられる(図1-18)。
図1-18 韓国人すりグループの構造
図1-18 韓国人すりグループの構造

 我が国での犯行形態は,観光目的の短期滞在の在留資格等により来日し,犯行後は韓国に逃げ帰るいわゆるヒットアンドアウェイ方式により,広域にわたってすりを行うものであり,犯行時には刃物や催涙スプレー等の凶器を携帯し,犯行が発覚すると,これらの凶器を用いて警察官や被害者に抵抗し,逮捕を免れようとするなどの特徴がある。
 すりの手口は,「見張役」及び周囲からの「壁役」が被害者から数メートル離れた位置,あるいは近接した位置に立ち,「抜き役」が被害者が持つバッグの側面や上着の内ポケットにかみそり等の鋭利な刃物で切れ目を入れ,財布を抜き取るというものが多くみられる。「足止め役」が携帯電話や小銭を落として被害者の進路を妨害したり注意を引きつけているうちに盗み取る例もある。また,混雑の少ない日中等の時間帯でも被害者を取り囲むようにして犯行を行っている。
 近年はすり取った銀行カードで預金を引き出す手口(CD盗)も目立っているが,事後的に生年月日等から暗証番号を推察するものだけでなく,あらかじめCD機を利用する客の前後に並び暗証番号を盗み見た上ですりを敢行している例がみられる。
韓国人すりが携帯していた凶器
韓国人すりが携帯していた凶器

改札口付近での犯行状況(中央部の丸印を付したのが被害者)
改札口付近での犯行状況(中央部の丸印を付したのが被害者)

事例
 在日韓国人を含む韓国人すりグループは,13年2月から14年4月にかけて,高度に組織化された役割分担の下,駅構内等でのすり,置引き及び入手した銀行カードを使用した預金の払戻しを繰り返し,メンバーは首領から収益の配分を受けるなどして活動していたものである。
 本件では,在日韓国人が韓国内のすり常習者で構成されたすりグループを我が国に招き入れ,アジトの段取り,道案内等を行っていた。一部のメンバーは,来日後グループを離脱して別の新たなグループを結成しており,10人前後からなる3グループが把握された。
 活動範囲は,近畿圏から中国,九州方面へ車両等で移動するなど,広域にわたり,また,メンバーは入国後,3〜10日後には韓国に出国するという動きを繰り返していた。
 上記グループは,この間,合計約180件のすり,置引き,預金払戻しを敢行し,被害総額は約1,800万円に及んだものであり,14年7月までに,在日韓国人を含む韓国人被疑者12人を検挙した(大阪,京都,兵庫,奈良)。







コラム8 来日目的(被疑者の声)
 韓国人すりグループが我が国で活動する理由として,韓国内ですりを敢行するよりも効率がよいとか,捕まりにくいなどの意識を持っていることがうかがえる。例えば,検挙被疑者の取調べ過程で,次のように話している例がみられる。
 ・日本円を韓国ウォンに換金する場合の価値を考えれば,旅費を使っても日本円をすり取った方が儲けになる。
 ・日本人はすりに対する防衛意識が希薄であり,犯行が容易である。韓国では被害が多発していることをテレビや新聞等で報道しているので,防衛意識が強く,韓国の女性はバッグを体の前に抱えるなどしている。
 ・万一逮捕された場合も日本は刑が軽く,初犯であれば執行猶予で出られる。
 ・日本では顔を知られていないので,来日してすりをやる。韓国では否認をしても前科があったり,顔を知られていることから捕まってしまう。


エ 香港三合会

 香港三合会(以下「三合会」という。)とは,17世紀に清朝の支配に抵抗するために生まれた政治的な団体が,その後,次第に変質して香港において売春,賭(と)博等を支配する犯罪組織になったものの総称である。現在,約3万人の構成員,大小約50の三合会が存在し,そのうち活動が活発な組織は「和勝和」,「新義安」,「14K」等,10〜20組織といわれている。
 組織の構成は,首領の下,個別の役割を帯びた幹部,構成員,準構成員がいる伝統的な構造(図1-19参照)から,首領の下に複数のグループリーダーがおり,その下に構成員,準構成員がいるといった単純で実利的なものに変化しつつあるといわれる。


 資金獲得は,縄張内の風俗店等からのみかじめ料徴収,賭博場の経営,薬物取引,管理売春,債権取立て等,多様な非合法ビジネスを行いつつ,運送業や娯楽産業等の一般社会の経済分野にも進出しているとみられる。
 我が国ではこれまで,三合会の構成員が首領として指揮を取りヒットアンドアウェイ方式により貴金属店に対する強盗を敢行したり,構成員らが日本国内に偽造工場を設けクレジットカードを偽造し,これを用いて商品を騙(だま)し取った事件等がみられる。後者の例では,磁気情報をスキミングされた店舗が米国,カナダ,シンガポール等世界各地にわたり,我が国での被害総額は約20億円に上るなど,国際的規模で敢行されている事件もみられる。また,新宿の歌舞伎町で活動がみられた香港出身者からなるクレジットカード偽造グループに対する捜査の過程でその背後に三合会の関与がうかがわれるものもあった。
コラム9 三合会の位置付け(被疑者の声)
 三合会は,歴史の古さ,組織性の強さ等から,アジア地域における代表的な犯罪組織の例として我が国の暴力団とともに挙げられることが多いが,暴力団と比較した場合,構成員個人の利益追求を目的とした横のつながりの側面が強いことや,香港では三合会の構成員であること自体が取締りの対象であることから秘密性が高いといった相違点がみられる。例えば,クレジットカード偽造等事件での検挙被疑者が次のように話している例がみられる。
 ・黒社会に入会しなければ,黒社会のメンバーにいじめられる。
 ・個人主義になっており,自分の利益のために活動する。
 ・組織員であるメリットは,仕事にありつきやすいことやトラブルの際に組織が助けてくれることである。同じ組織の者にもめ事が生じていれば,組織で団結して解決する。
 ・組織員であることのデメリットは,黒社会の者というだけで警察に捕まってしまうことである。
 ・相手が信用できなければ黒社会の一員であることを明かさない。
オ 台湾人犯罪組織

 台湾における犯罪組織は,台湾内で公共工事の談合,用心棒料の徴収等,社会経済に影響力を行使して様々な資金獲得を図っているといわれており,「竹聯幇」,「四海幇」等の組織が台湾内外で知られている。
 我が国とのかかわりは,昭和60年ころから,大都市の繁華街を中心として活動が目立つようになった。これは,台湾で推進された組織犯罪一掃運動の影響等により一部の構成員が我が国に進出したことが一因であるともいわれている。東京都内の新宿や池袋では,十数名からなるいくつかのグループが把握され,主に台湾人社会の中で,賭博,薬物の密売等を敢行したり,グループ同士が対立抗争を引き起こすなどしていた。
 その後,首領,幹部の検挙等を経て活動が沈静化したものの,近年においては,台湾内の犯罪組織の関係者が台湾で犯した犯罪の取締りを逃れて来日し,長期間にわたって不法滞在していた例がみられたり,台湾人グループによって敢行される多様な犯罪が発生しており,発生場所は首都圏に限られたものではない。
 平成14年中も,偽造通貨(1万円札)行使事件,偽造クレジットカード行使事件,ヒットアンドアウェイ方式で出入国を繰り返し,自動車やバイクを盗み,解体し,台湾に輸出していた自動車盗事件が発生するなど,我が国を標的にした資金獲得の動きがみられた。これらの犯罪の一部には台湾の犯罪組織の関係者が共犯者として関わっていたとみられるものもあった。

事例
 14年1月,大阪府警察は,大阪市内の食品販売店で偽造1万円札を行使した台湾人の男女5人を検挙し,さらに2月,これらの者に東京都内から宅急便を利用して段ボール箱に偽造1万円札約1,200枚を入れ,送付した貿易業を営む台湾人1人を検挙した。被疑者らは,犯行の直前に短期滞在の資格で入国していた。
 これらの偽造紙幣は,一部印刷が欠けていたり,赤みがかっているなどの特徴があった。また,同月,香港人らが東京都台東区内の土産物店で行使した偽造1万円札及び暴力団員らが東京都,千葉県及び静岡県で行使した偽造1万円札と一部の番号が一致しており,製造元が一致するとみられた。台湾内の犯罪組織が報酬を約束して使用させていたとみられた。
カ マレーシア人カード偽造グループ

 我が国でクレジットカードに係る犯罪を行うグループは,中国人(香港を含む。)からなるグループとともにマレーシア人のグループ(以下「マレーシア人グループ」という。)が目立っている。マレーシア人グループについては,偽造クレジットカードの原料となるカード原板(いわゆる生カード)をマレーシアから大量に我が国に密輸入している状況や,カードデータをマレーシアを始めとした海外から送らせている状況がみられる。
 クレジットカードに係る犯罪には,データのスキミング,偽造クレジットカードの作出,売買,使用等の過程があり,マレーシア人グループは,これらのうちのいくつかを専門に行うグループとすべてを行うグループとがあるとみられるが,いずれも便宜上中国人や日本人と連携している状況がみられる。
 一部の行為のみを行うグループには,マンションの一室を「偽造工場」とし,完成したカードは中国人及び日本人からなる偽造クレジットカード使用グループに1枚数万円で貸し渡し,同使用グループが商品の騙取及び古物商への売却をして得た現金から6〜7割を徴収していた例,完成したカードはマレーシア人及び日本人からなる偽造クレジットカード使用グループに1枚数万円で売却していた例等がみられる。
 一連の過程をすべて行うグループの場合でも,偽造を行うマレーシア人の首領の下,偽造クレジットカードで騙取した品物の換金処分を担当する日本人幹部がおり,更にその下の偽造クレジットカード使用役にもマレーシア人と日本人がいる例があるなど,利益追求のために巧妙に役割分担をしていることがうかがわれる。
 また,マレーシア人グループには中国系のマレーシア人が多くみられ,これらの者が上記のような中国人との連携や共犯関係の一因となっているものと考えられる。
 偽造クレジットカードの行使時における手口は,都市部だけでなく,レンタカーを利用するなどしていわゆるヒットアンドアウェイ方式により地方都市に出向いて広域的に敢行している実態がみられる。また,あらかじめインターネットを利用して主だった大型電機店,ショッピングセンター等の位置を確認した上で,電化製品,カメラ,新幹線の回数券等,高価かつ換金しやすいものを選んで騙取し,それらの品物をコンビニエンスストアから宅配便で幹部の指示により東京や大阪に発送しているなどの例がみられる。



ア 第一線の警察官が感じている来日外国人犯罪の組織化の進展状況

 来日外国人犯罪について,その組織化が進んでいると思うかについての回答は図1-13のとおりであり,第一線の警察官の9割以上が「外国人犯罪の組織化の進展」を体感している。

 
図1-13 来日外国人犯罪の組織化の進展


図1-13 来日外国人犯罪の組織化の進展

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イ 第一線の警察官が感じている国際犯罪組織のイメージ

 において外国人犯罪の組織化が進んでいると回答した捜査官918人に対し,それぞれがイメージしている外国人犯罪組織(以下「その組織」という。)について,以下の質問を行った。
 まず,その組織が主としてどの国・地域の者により構成されているかについては,「中国」と回答した者がその大半である85.1%を占め,検挙件数等の統計数字が示す以上に中国人による組織犯罪の増加が,第一線の警察官に強い印象を与えている。
 その組織が主としてどのような犯罪(不当な行為)を敢行しているかについては,「強・窃盗及びそれらの盗品売買・輸出」と回答した者が約半数(45.5%)を占め,これに次いで「密入国(旅券偽造,偽装結婚,船舶利用密航の手引き等)」(26.9%),「薬物の不正取引」(13.5%),「クレジットカード詐欺及びそれらの盗品売買・輸出」(8.5%)が上位を占めた(図1-14)。

 
図1-14 その組織が主として敢行する犯罪


図1-14 その組織が主として敢行する犯罪

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 その組織が国籍別にどのような構成になっているかについては,「主たる国籍の者のほか,日本国籍の者が加わっている」と回答した者が過半数(66.0%)を占め,「同一国籍の者のみによって構成されている」(20.5%)を大きく上回った。
 このことは,国際犯罪組織が,日本人の社会に深く浸透し,日本人を仲間に引き入れて犯罪を敢行し始めていることをうかがわせる。
 次に,その組織の構造に関する質問に対しては,「恒常的な組織ではなく,犯罪の目的に応じメンバーが入れ替わる離合集散型」(40.1%)と「リーダーを頂点とするピラミッド型」(39.3%)がほぼ同数で,この合計が全体の約8割を占めた(図1-15)。
 
図1-15 その組織の構造形態


図1-15 その組織の構造形態

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 これは,国際犯罪組織が必ずしも我が国の暴力団のような定型的な組織形態を持たないことをうかがわせるものと考えられる。
 その組織が,主としてどのような地域で犯罪を敢行しているかについては,「複数県に及ぶ地域」(54.7%)と回答した者が最も多く,次に多かった「全国規模」(30.4%)と合わせると8割を超え,その犯罪組織が極めて広範囲にわたって犯罪を敢行していることをうかがわせた。
 また,その犯罪組織が,海外の犯罪組織と結びついているかとの質問に対しては,「はい」と回答した者が61.9%で過半数を占めている反面,「わからない」と回答した者も32.1%おり,組織の実態が必ずしも明らかとなっていない状況もうかがわれた。



ウ 第一線の声

 次に,回答者に今後の来日外国人犯罪の防止又は捜査に必要なものはどのようなものが考えられるかについて,自由に回答を求めたところ,「捜査員の不足の解消」,「捜査員の語学能力向上を含めた通訳人の確保」等の捜査体制の強化を求める声,「留置場の増設」,「凶悪な外国人被疑者の攻撃に対処するための装備資機材の開発・配備」等の捜査関係施設や装備の増強等を求める声,「入国管理局を始めとする関係行政機関との連携強化」,「海外捜査機関との連携強化」等,警察のみの力では,この問題の解決が難しいとの声,「入管法違反に対する罰則の強化」,「簡易書式例の導入等による事件送致手続の簡素合理化」等,思い切った制度改正により大量の事件処理を迅速的確にできるようにすることを求める声等真剣な提案がみられ,増加傾向にある来日外国人犯罪に対峙(じ)する第一線の苦悩がうかがわれる結果であった。






コラム1 「簡易書式例〜捜査に用いられる書式の簡素合理化」
 来日外国人犯罪の検挙件数の増加に伴い,第一線では,その限られた体制の下,最大限の努力でこれに対峙しているところであるが,(2)におけるアンケート結果にみるとおり,第一線の苦悩が垣間見られた。
 そのなかに挙げられた,「簡易書式例の導入等による事件送致手続の簡素合理化等思い切った制度改正による事件処理の迅速化」にいう簡易書式例を紹介する。
 簡易書式例とは,刑事訴訟法第193条第1項の規定による一般的指示として,検事総長からなされた司法警察職員捜査書類簡易書式例のことをいう。警察官は,被疑者を検挙した後,捜査を完結させ,検察庁に事件送致を行うまでに供述調書や実況見分調書を始めとして,様々な書類を作成するが,その様式は,同法を受け,基本書式例として定められている。従前は,すべての事件について,基本書式例が用いられていたが,基本書式例は,極めて緻密な捜査の記録を行うことができるよう,その様式は詳細な内容の記載を求めるものとなっており,事件の性質によっては,必ずしも基本書式例によらなくても立件・送致に耐えられるものもある。簡易書式例は,こうしたことを背景に,作成する書類の記載内容を必要最小限度にとどめることにより,書類作成上の負担を軽減することを目的として制定され,昭和38年から施行されているものである。
 簡易書式例により定められた書式は,基本書式例に比べて記載欄が縮減され,定型的な記載が予定される欄にはチェック方式を採り入れるなど,すべての書式にわたり簡素合理化が図られており,書類作成に要する時間が短縮される結果,より迅速に的確な事件送致が可能となる。
 簡易書式例の対象事件は「犯行の形態が単純であり,かつ,証拠が明らかである事件」のうち,その適用対象として指定されたあらかじめ定められた事件であり(ただし,適用対象事件であっても,現行犯逮捕以外の逮捕事件や否認事件等のように,より緻密な捜査が求められる事件は除かれる。),例えば,詐欺事件のうちいわゆる寸借詐欺や無銭飲食のようなものが簡易書式例の適用対象となっている。







コラム2 部外の通訳人に対するアンケートの結果
 警察庁においては,来日外国人犯罪について,捜査員とは異なる観点からの知見を収集するため,都道府県警察の来日外国人犯罪捜査における通訳業務に従事する日本国籍以外の通訳人に対するアンケート調査(注1)を実施した。





(注1)アンケート調査は,平成15年3月,都道府県警察において来日外国人犯罪捜査における通訳業務に従事する日本国籍以外の通訳人786人に対し,匿名性・任意性を確保することを説明した上でアンケート表を配布し,来日外国人犯罪捜査に通訳として従事した経験から得た率直な感想を回答していただくよう依頼したものである。これに対し,596人から回答を得た(回収率75.8%)。

○ 通訳人の出身国・地域,業務経験等
 出身国・地域については,全40か国・地域のうち,最も多かったのは中国で全体の25.2%,次いで多かった台湾(11.4%)を合わせると全体の4割近くを中国語を母国語とする者が占めた。以下,ブラジル(10.1%),韓国(8.1%),フィリピン(7.7%)の出身者が上位を占めた。
 同様に,通訳を担当する言語については,延べ33か国語(注2)のうち,最も多かったのは中国語(注3)で全体の39.2%,次いで多かったのはポルトガル語(11.5%)で,過半数をこの両国語で占めた。以下,韓国語(9.4%),英語(9.0%),タガログ語(7.5%)が上位を占めた。





(注2)複数の言語の通訳を担当していると答えた者が全体の19.5%,なかでも最も多くの言語の通訳を担当していると答えた者は4か国語を挙げた。
(注3)中国語の方言(北京語,上海語,福建語等)を回答した者についてはすべて中国語1か国語として計上した。

○ どのような犯罪の通訳に携わることが多いか
 扱う事件は,どのような犯罪が多いかについて質問したところ(複数回答),「入管法違反事犯,偽造旅券,偽装結婚」(77.5%)が最も多く,「窃盗犯」(57.7%),「薬物関係事犯」(23.2%)が続いた。

○ 業務上の不安点等
 来日外国人犯罪が,年々凶悪化の傾向にあることは統計面からも触れたところであるが,通訳人は,こうした凶悪な来日外国人被疑者と対峙することから,その業務中に不安を感じることがあるのではないかとの懸念が生じる。
 この観点から,今まで,通訳をしている最中に,被疑者に脅迫されたことはあるかとの質問を行ったところ,これに対し,「ある」と回答した者が1.3%,「脅迫ではないかと思われる言動を受けたことがある」と回答した者が3.0%であり,一部に脅迫又は脅迫ではないかと思われる言動を受けたことがある者がいることが判明した。
 なお,「ある」又は「脅迫ではないかと思われる言動を受けたことがある」と回答した者に対し,それは誰に対するものかとの質問をしたところ,無回答を除く全員が「自身が被害を受けるようなことを言われた」(92.3%)と回答しており,このなかでは「殺人をほのめかされた」と回答した者が23.1%,「傷害をほのめかされた」と回答した者が7.7%で,身体に危害が及ぶとの脅迫を受けた者もいた。
 また,「脅迫を受けて,恐怖心を抱きましたか」との質問には,「はい」が23.1%「いいえ」が76.9%であり,一部には,こうした不安とともに業務に従事している状況があることが判明した。

○ 通訳人から見た被疑者の事情
 「あなたの出身国・地域の人で,日本で犯罪に関与した人は,当初はどのような理由で来日したと思いますか」との質問に対しては「就労目的」との回答が75.8%で最も多く,「当初から犯罪目的」と答えた者は5.7%であった(図1-16)。

 
図1-16 犯罪に関与した人が当初来日した理由


図1-16 犯罪に関与した人が当初来日した理由

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 通訳業務において,通訳人は,被疑者の身上についての取調べにも立ち会うことから,多くの来日外国人被疑者が就労のために来日し,徐々に犯罪を敢行するようになるパターンを多く見ていると考えられる。
 また,これらの者に「なぜ,日本に就労や観光を目的に来日した外国人が,結果として犯罪に関与したと思いますか」との質問をしたところ,「暴力団等の日本の犯罪組織に誘われたから」(10.9%),「同じ国の犯罪グループに誘われたから」(28.7%),「まじめに働くよりも,犯罪を行った方がお金が儲(もう)かるから」(30.8%)との回答がみられた(図1-17)。

 
図1-17 結果として犯罪に関与した理由


図1-17 結果として犯罪に関与した理由

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ア 中国人犯罪組織

(ア)グループ形成の背景
 我が国の中国人犯罪組織は,中国本土に拠点を置く犯罪組織の構成員が我が国で活動している例もみられるが,組織ぐるみで我が国に進出したものではない。留学生・就学生制度の充実等により来日経験を持つ帰国者が増加し,こうした者を中心に,「経済格差により一攫(かく)千金をねらうことができる」,「血縁・地縁に基づき支援する中国人が存在する」などの風評が立ち,また,不良中国人の間には「犯罪を犯しても取締りや量刑が軽い」,「日本人の防犯意識が低い」,「防犯設備が整っていない」などの風評が広がったことなどにより,合法・非合法を問わず,資金獲得を目的に来日を目指す中国人が増加し,来日した中国人のうち一部の者が犯罪を犯し,更に犯罪を効率的に行うため,それらが組織化したものとみられる。






コラム3 資金獲得の場所として我が国を選んだ理由(被疑者の声)
 資金獲得の場所として我が国を選ぶ理由について,経済格差のほか,他国と比べ取締りや量刑が厳しくないなどという意識を持っている状況がうかがえ,検挙された中国人被疑者の取調べの過程で,次のように話している例がみられる。
 ・短期間で大金を稼ぐことができる。犯罪であれ何であれ,金を稼いだ者が成功者である。
 ・本当はアメリカに行きたいが警察官に撃たれるなどの危険性もあり,刑も重い。
 ・日本の警察は絶対に殴らない。運悪く捕まっても,否認していれば退去強制されるだけで済む。捕まることは恐いが,警察自体は恐くない。
 ・日本は刑が軽く,窃盗でもせいぜい数年なので我慢できる。
 ・日本の刑務所はきれいで,テレビも見られ,中国での生活より楽だといわれている。


 検挙された来日中国人のなかには,本国で不良グループに属していたという者と,来日するまでぐ犯性はなかったものの安易な資金獲得手段として犯罪を犯すようになった者とがみられ,前者は我が国での犯罪グループの中核となっている例も少なくない。また,犯罪グループの構成員のなかには,過去に我が国から退去強制されたにもかかわらず偽造旅券を用いて再入国している者がおり,これらの者が犯罪グループの中核となっている例もみられる。
 中国人の犯罪グループの構成を見ると,上海市出身者,福建省福清市出身者,福建省長楽市出身者,東北部(黒竜江省,吉林省,遼寧省等)出身者等,地縁を結合の中核としたものが一般的である。他方,複数の出身地からなる者が共謀して広域にわたって強・窃盗を敢行した例もあり,必ずしも地縁的結合に基づかないものもみられるが,このようなグループは,概して小規模である。






コラム4 新宿歌舞伎町における中国人犯罪組織の勢力の推移
 新宿歌舞伎町は来日外国人のい集場所であり,中国人犯罪組織は情報交換,薬物取引等において歌舞伎町を利用し,勢力の拡大を図ってきた。集中的な取締りの影響により,都内の大久保,池袋等,あるいは地方都市に組織が分散する傾向がみられるが,今なお重要な活動拠点であることに変わりはない。
 平成4年ころまで台湾グループ(台湾出身者の犯罪組織)が活発に活動していたが,集中的な取締りを受けて分散,沈静化し,その後,上海グループ(上海出身者の犯罪組織)が台頭してきた。上海グループは,上海での経歴,歌舞伎町内での信望等から自然に上下関係ができているが,離合集散が激しい状況がみられる。上海グループについても,現在は主要幹部が検挙されたり,取締りを逃れて出国するなどにより勢力を弱めている。最近では東北グループ(東北部出身者の犯罪組織)の台頭もうかがわれている。福建グループ(福建省出身者の犯罪組織)については,グループとしては根付いていないものとみられる。なお,マレーシア人のクレジットカード偽造グループが歌舞伎町を拠点に活動している状況がみられるが,これらの構成員は中国系のマレーシア人が多い。


 都市部では,不良中国人が経営に関与する中華料理店,スナック,カジノバー等が相当数あり,都市部周辺で活動する不良中国人のたまり場となっており,そこでの面識を通じ,次第に交流を深めた例がみられるなど,こうした店舗が中国人の犯罪組織化を促進する機能を果たしている。また,このような店舗には,中国人犯罪グループによる強・窃盗事件の情報収集や謀議,盗品のさばき場所等として使用されているものもある。
 加えて,構成員が相互につながりを持つようになった経緯としては,日本語学校や,中国人が多く集まるインターネットカフェ,カラオケ店等で面識を持つに至った例,一度犯罪に手を染めてからは,共犯者を通じて更に他の犯罪常習者と知り合ったなどの例がみられる。






コラム5 強盗グループに加わった経緯(被疑者の声)
 中国人強盗グループの中には,中国において「黒社会」的犯罪組織に入り犯罪を行っていた者もいるが,来日後にこれらの者に強盗を勧誘されて仲間になった者も少なくない。その経緯として,例えば,福建省長楽市出身者らによる連続強盗事件では,20数人の検挙被疑者の取調べ過程で,次のように話している例がみられる。
 ・職場で,言葉の問題や,日本人の同僚に馬鹿にされたことから自信をなくし,同郷者と寄り集まって金を得る相談をし,強盗をやることになった。
 ・中国からの密航費用の借金を手っ取り早く返済するためグループに加わった。
 ・仕事がなく,同郷者を訪れたところ,彼らが強盗を行っていることを知り,金欲しさから強盗グループに入った。
 ・新宿のディスコやぱちんこ店等で,中国人の同世代の中に,強盗等により多額の現金を容易に手にして豪遊している者を見て,犯罪グループの仲間になった。


 これらのグループでは,従来,構成員同士がそれぞれ緩やかなつながりのもとに離合集散を繰り返しながら犯罪を敢行するぐ犯者グループというべきものが目立ったが,最近は単なるぐ犯者グループではなく,高度に組織化された犯罪組織になりつつあるものも現れてきている。犯行の形態も短絡的ではなく,綿密に計画されたものがみられるようになっており,一部の組織は,強い影響力を持つ首領の下,グループに分かれ,各グループが犯行場所等に対する綿密な下見行為,犯行に必要な器材の入手,強・窃盗の実行,窃取した銀行カードを使用しての預金の引出し,盗品の処分等の役割を分担して効率的に犯罪を敢行しているなどの状況がみられる。

(イ)犯行手口等
 組織性の高いグループでは,首領は犯行現場に立ち会わず,犯行日時・場所,被害品の本国への郵送,収益の配分や上納金額等についての指示や実行資金の調達・交付,日本人共犯者のスカウト等の準備行為を行うのみである例もみられる。
 また,犯罪グループのなかで,留学等の正規の在留資格を有する構成員や構成員の日本人配偶者が名義人となって,犯行に使用する車両の借上げ,銀行口座の開設や携帯電話の契約を行っている例もみられる。
 さらに,こうした犯罪グループは,周辺部に広がりをみせており,例えば,正規の在留資格を持つ中国人の知人や親戚,入国してきた中国人の世話を報酬を得て請け負う者等,明確に犯罪グループの構成員と断定できない周辺者が,住居を契約したり,銀行口座を開設して通帳を提供するなどして支援している例もみられる。
 暴力団との関係としては,入国に絡む犯罪のほか,侵入盗等においても,連携がみられるようになっている(5参照)。
 中国人犯罪グループによる犯罪の形態は,窃盗(空き巣ねらい,車上ねらい,ピッキング,サムターン回しにより侵入して行う金庫破り,出店荒し等),通帳詐欺(窃取した通帳を用いて金融機関から預金を引き下ろす手口),強盗(貴金属店,金融業,資産家を対象とするものなど),クレジットカードに係る犯罪(データのスキミング,偽造クレジットカードの作出,売買,使用等),ぱちんこの偽造ロムに係る犯罪(ロムを仕掛ける目的での建造物侵入,打ち子による出玉の窃取)等がみられる。
 窃盗グループによる犯行は,極めて巧妙に行われている。例えば,中高層ビル内の会社事務所や住宅マンションを対象とした侵入盗事件では,1人が車両の運転席で待機し,1人は建物付近の道路上で移動しながら警戒・見張りを行う一方,2〜3人が見張役と携帯電話ですぐに通話できる状態で,ピッキング用具等を用いて室内に侵入し,金庫をバールで破壊するなどして現金,預金通帳等を盗むなど,細かな役割分担の上,行われているものがみられる。
 なかには,ピッキング用具やサムターン回しにより侵入し物色した箇所を元通りに戻した上,施錠して逃走するなど,犯行の発覚を遅らせて,預貯金を引き出す例が多くみられる。また,預金の引出役に日本人がスカウトされ加担する例も目立っている。
 ぱちんこの偽造ロムに係る犯罪は,かつてほどみられなくなったものの,現在も引き続き行われている。こうした犯罪を敢行する際には,犯行が露呈しないように1日に打ち子1人が窃取する金額を数万円に抑えたり,店舗に侵入する際に防犯センサーを避けるための機材を用意するなどの例がみられるほか,捜査の過程から,出荷前のぱちんこ台をねらったり,ぱちんこ店の店員と共謀しているという状況がうかがえるなど,その手口も巧妙化する傾向にあるとみられる。

(ウ)上海グループ
 上海出身者の犯罪組織(以下「上海グループ」という。)は,新宿歌舞伎町や大阪のミナミと呼ばれる地域を始めとする都市部の繁華街に集まった上海出身者が,次第に組織化して形成されたものとみられる。
 検挙された窃盗グループ等を見ると,多くは小規模で,組織性が低い場合が多い。しかし,なかには,グループ同士が一部の構成員を介してつながりを持っている例もあり,複数都道府県警察の共同・合同捜査により検挙被疑者が数十人に上った事件もある。こうした事件では,地縁者,血縁者等の周辺でグループを支援する者を含めると百人を超える関係者の存在が明らかとなり,地域的にも東京を拠点とする者と大阪を拠点とする者が交流を持ち,共同で侵入盗を敢行していたことが判明している。
 また,構成員同士又はグループ同士が上下関係を構成している例もある。東京都内における主な上海グループのなかには,首領の下,数名の配下を抱え,更にその下に配下がいるというピラミッド型の組織構造を有するものがみられ,上位者が傘下のグループから上納金を得ている状況もうかがえる。これらのグループも,首領の検挙や,他の地縁グループ(福建省出身者のグループ等)との抗争によって壊滅するなど,必ずしも安定しているものではない。






事例
 上海グループ,住吉会傘下組織組長らは,クレジットカードの偽造,偽造カードを使用した商品の騙(へん)取,ピッキングによる侵入盗,窃取した銀行カードを使用した預金の引出し等をそれぞれグループに分かれて役割分担した上,敢行していたものである。
 首領は,かねてより埼玉県西川口周辺の不良中国人らを束ねてこの種の犯罪を敢行する者として浮上していた上海出身の中国人であり,同人は,日本人名義の偽造旅券を所持し,定期的に我が国と上海を往復していた。同人と住吉会傘下組織組長とは,相互に面識のある日本人の仲介により接近し,犯罪に関する情報の交換等を通じて徐々に連携し,犯行の規模を拡大していったことが判明している。
 被害総額は約4,400万円(うち現金被害約2,600万円)に及んでおり,14年7月までに,支払用カード電磁的記録不正作出,窃盗等で,首領の男を含む上海出身の中国人12人,住吉会傘下組織組長を含む日本人11人の計23人を検挙した(埼玉)。


(エ)福建グループ
 福建省出身者の犯罪組織(以下「福建グループ」という。)は,上海グループをしのぐ勢力を持つとともに,中国本土における犯罪組織の関係者が中核となっていたり,敢行する犯罪の形態が多角化しているなど,組織としての性格を強めている。
 福建グループは,主なものとして数グループが把握されているが,これらは,基本的には協力して活動することは稀(まれ)であり,また,相互に対立することを避けるために活動地域のすみ分けを行うなどしているとみられる。
 構成員には,過去に我が国で退去強制処分されたにもかかわらず偽造旅券の使用等様々な方法で来日する者がおり,これらが組織の中核となっている例がみられる。一部の検挙被疑者からは,福建省での犯罪組織の関係者が取締りを逃れて来日するケースも多いという供述もみられる。






事例
 三弟と呼ばれる首領を頂点とする福建グループは,首領の強い統制力の下,数十人の構成員により,偽造クレジットカードによる詐欺,錠剤型薬物の密売等を資金源として活動し,福建グループの中でも最大勢力の一つとみられたものである。
 組織化が進展した背景には,首領に福建省で犯罪組織を形成する親族がいることから,恐喝等の被害を受けた同国人の被害者は泣き寝入りし,配下の構成員は警察に検挙された際に首領の名前を供述しないなどの状況があった。
 首領は,偽名旅券を使用して来日し,外国人登録を行っていたほか,自身は犯行に直接加担せず,住居を転々とするなど,警察による取締りを強く警戒していた。配下からの上納金は,多い時には月に数千万円にも及んだとみられる。
 我が国の暴力団との関係も明らかとなっており,暴力団員が盗品の処分,同グループ構成員が起こしたトラブルの仲裁等を行っていた。
 14年1月,入管法違反で首領を含む10人を一斉検挙し,5月までに更に5人を検挙した(警視庁)。

イ コロンビア人窃盗グループ

(ア)グループ形成の背景
 コロンビア人窃盗グループには,祖国での貧困等を理由に正業を求めて来日する者や,「日本では泥棒で簡単に金を稼ぐことができる」,「日本では売春で祖国の数倍稼ぐことができる」などの風評から,そもそも売春,窃盗等の違法行為を敢行する目的で来日した者らが,相互に仲間を募り合いながら我が国国内で窃盗グループを形成する例や,コロンビアであらかじめ犯行の役割分担,成功時の利益配分等を打ち合わせた上,グループで入国する例等がみられる。後者の中には,コロンビア国内でも窃盗を敢行している者が首領格となって加入の勧誘や偽造旅券の手配をしたり,メンバーに対して,「人が大勢いるところへ行って,肩をたたいたり,声を掛けたりして気を引きつけろ。その間に,他の者が金を盗む。声を掛ける時は,必ず日本語で「すいません」を入れろ」などと具体的な犯行方法を指導しているものもある。
 また,入国の背景には,コロンビア国内で失業者等を対象に来日を勧誘し,旅費の貸付け等を行うコロンビア人ブローカーの存在がうかがわれており,コロンビア人女性のなかには当初レストラン等で働けると聞かされて来日したが,請負料としてこうしたブローカーに負った数百万円の借金に拘束され,ブローカーと関係のある者から売春を強要された者や,窃盗グループのメンバーの中にも,こうした借金を返済するためにグループに加わったという者がみられるなど,コロンビア人に係る犯罪が発生する要因となっているとみられる。
 入国に用いられた旅券は,こうしたブローカーの手配により,あるいは自ら,本国で知人を通じて自己の写真を貼付した自己名義の偽造旅券を入手したり,隣国で飲食店を通じて偽造旅券を入手するなどにより入手している実態がみられる。最近は,メキシコに住む親戚に依頼して,同国で身分を証明する書類を取得し,これを用いて同国の旅券を取得して我が国に入国するという例も少なくない。
 来日後の窃盗グループ形成の経緯は,コロンビア人が集まる南米料理店を訪れた際やコロンビア人が多く住むマンションに居住することにより周囲から勧誘されたという例が多い。
 窃盗グループの規模・構成は,概して,数人から十数人のメンバーが友人関係に基づくなどして,緩やかにつながっているものとみられる。

(イ)犯行手口等
 コロンビア人窃盗グループの犯行手口は,侵入盗のほか,宝石商を対象として被害者の駐車した車両のガラスを破って宝石,貴金属を盗み取る車上ねらいや置引き,銀行で多額の現金を引き下ろした者に声をかけて,気を引いているすきに他のメンバーが盗み取る手口等がある。
 窃盗で得た収益については,グループ内で均等に分けたり,地下銀行を通じて本国に送金したりするほか,帰国する際に荷物の中に隠して持ち帰るつもりであったなどと供述する例もみられる。
 窃盗グループのメンバーの女性には,当初売春目的で来日した者が散見されるところであるが,我が国の暴力団が,コロンビア人女性の売春に絡んでみかじめ料を徴収するなどして,資金を得ている例があるほか,コロンビア人ブローカーとつながってこれらのコロンビア人女性の受入れに関与しているともいわれている。

事例
 コロンビア人グループは,14年9月,東京都中央区の銀行支店内において,被害者の会社員女性に外国語で話しかけ,同時に小銭をばらまいて周囲の客の注意をそらすなどして,被害者がATM機の上に置いた封筒入りの現金200万円を窃取したものである。12月までに同グループの構成員2人を検挙した。
 同グループは,8月ころから,東京,埼玉及び神奈川で,類似する手口の窃盗合計17件を敢行し,被害総額は約1億2,000万円に上った(警視庁)。



コラム6 来日目的(被疑者の声)
 コロンビア人窃盗グループのメンバーが我が国を訪れる目的は,資金獲得という点で共通しているが,当初から窃盗や売春の敢行を意図している者がおり,例えば,都内で検挙された数グループの被疑者の取調べの過程で,次のように話している例がみられる。
 ・友人が日本で売春を行い相当稼いだと話していたので,日本に行けばコロンビアの数倍の稼ぎがあると思い,売春目的で来日した。
 ・「日本は泥棒で簡単にお金を稼ぐことができる」と聞いていたので,生活費を稼ぐため来日した。査証免除で入国しやすい。日本のお金は高い価値がある。
 ・コロンビアで泥棒をしている男から,「日本に行って泥棒で稼ごう」と誘われ,コロンビア国内でグループの一員となった。
 ・友人が名古屋で街娼(しょう)をして稼いだと聞いたので,母親を助けるため,街娼となる目的で来日した。
 ・日本で大量の貴金属を窃取するのに成功して帰国した者がいたことから,うわさが広まり,うわさを信じて来日した。

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posted by 真 救世主 at 13:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by 安倍なつみ ビキニ at 2013年07月21日 08:36
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